イワサキ経営スタッフリレーブログ

2023.04.09

ベーシックインカムについて

 「ベーシックインカム」という言葉を聞いたことがありますか。新型コロナウイルスのパンデミックを機に、耳にすることが増えたかもしれません。

なぜ、今「ベーシックインカム」が注目されているのでしょうか。
「ベーシックインカム」とは、すべての国民に対して無条件で、生活に必要な現金を、生涯給付し続ける制度のことです。英語表記「Basic Income」の頭文字をとって、「BI」と表記されることもあります。

なお、現在世界で「ベーシックインカム」の制度を導入している国はありません。

「ベーシックインカム」の説明を聞いて、生活保護と何が違うと疑問に思った人もいるかもしれません。生活保護は、生活に困窮している人が対象で、自ら申請し、審査を経て必要と判断された場合のみ支給される制度です。つまり、「ベーシックインカム」とは「すべての国民」「無条件」「生涯」という点が異なります。

全国民が無条件に一定額を支給される「ベーシックインカム」。一見素晴らしい制度のように見えますが、なぜ日本を含め、「ベーシックインカム」を導入している国が存在しないのでしょうか。

理由の 1つ目が、財源の確保です。全国民に一定金額を支給し続けるためには、莫大な資金が必要です。一人10万円支給された新型コロナの「特別定額給付金」にかかった事業費は約13兆円。年間で計算すると156兆円が必要になります。財源の確保のために想定される2つ目の理由が、増税です。消費税をはじめとした様々な税金を始め、あらゆる場面で支出が増えることも想定されます。3つ目の理由は、年金等これまでの社会保障が受けられなくなる可能性があります。「ベーシックインカム」を導入することは、これまでの社会保障制度を廃止することを前提としている場合が多いです。そのため、これまで年金を支払ってきたにもかかわらず、受給できなくなる恐れがあります。4つ目の理由が、勤労意欲の減退です。労働量に関係なく一定額が支給されることで、労働に対する意欲がなくなると考えられています。労働者不足を引き起こし、経済が停滞する可能性があります。

新型コロナウイルスのパンデミックによって、「ベーシックインカム」に関する議論は世界中で加速しています。生活に直結する制度であることから、今後も議論の動向に注視していきたいものです。

総合資産部 相続資産税課沼津 雛田 昌孝

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