イワサキ経営スタッフリレーブログ
2022年09月
2022.09.20
「投資」に対するイメージの変化
先日ある新聞の記事を目にして非常に驚くことがありました。金融広報中央委員会という組織が【家計の金融行動に関する世論調査】というものを定期的に実施しています。その中の『元本割れを起こす可能性があるが収益性が高いと見込まれる商品の保有』という調査において、長い間80%前後で推移してきた「保有しようとは全く思わない」という回答が50.3%に低下したというのです。
どういう事かと言うと、これまでは資産形成をする上で、収益を期待できるがリスクのある「投資」よりも、収益が期待できなくとも元本割れのない「預貯金」を選好する人が8割を占めていました。ところが、直近の調査では、預貯金を選好する人が5割まで低下したのです。
バブルが崩壊するまでは預貯金で資産形成が十分にできた成功体験、バブル崩壊により投資で損失を被った失敗の体験、バブル崩壊後、長く続いたデフレ、金融業界の商慣習等から、長い間、日本人にとって「投資」はお金持ちの道楽、もしくはもの好きの博打といったマイナスのイメージが定着してしまいました。そして多くの人の元本保証に対する、半ば信仰は揺ぎ無いものとなり、前述の元本割れの無い「預貯金」によって8割の人が資産形成をしてきました。
弊社が金融に携わるようになった20年程前から現在に至るまで、10人に2人しか受け入れてもらえなかったものが、半数の人が受け入れるようになったという事に隔世の感を禁じ得ません。また、今では当り前に聞く「長期・分散・積立投資」ですが、当時は勿論、10年前においても長期投資、分散投資を本気で顧客に勧める金融機関は無く、収益を生み難い「積立投資」に至っては皆無だったように思います。
小泉政権時に掲げた「貯蓄から投資へ」のスローガンから早20年。過去に投資ブーム(個人的にはマスメディアが作り上げた投機ブームだと思っています)は何度かありましたが、一過性のものではない「貯蓄から投資へ」が本格的に根付き、動き始めたように感じます。
最近、日本人が貧しくなったという話をよく耳にしますが、もっと早く「投資」が根付いていたら違った結果になっただろうと残念に思います。しかし、日本人の金融資産は2,000兆円あります。それが正しく「投資」に活用されれば、日本人は自信と豊かさを回復するのではないでしょうか。
イワサキ経営グループ FP課 志田将彦
2022.09.06
電子帳簿保存法の改正
令和4年1月から、事業者が取引した電子取引データは、電子帳簿保存法上(法人税、申告所得税の納税義務者に限る)電子データによる保存が義務化されました。ただし、猶予期間(宥恕措置)として令和5年12月31日までは、印刷しての保存も認められており、この間に、電子取引データの保存体制を整備する必要があります。令和6年1月からは電子取引データを印刷して保存することが一切認められなくなります。それまでに、まずは自社の電子取引を洗い出し、その保存方法や電子保存システムの検討が必要となります。
ところで電子取引データとはどのような取引が対象となるのでしょうか?
電子取引とは、取引先との間での取引情報を電子データで受け渡す取引をいいます。例えば電子メールに添付された請求書等や、ネット通販サイトからダウンロードやスクリーンショットした請求書・領収書、クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払いデータ、ペーパレス機能のあるファックス複合機でのデータの受信などさまざまです。また、自社が発行する請求書や領収書等の控えなども保存対象です。さらに見落としがちなのが、役員や従業員が個人のメールアドレスを利用して飛行機や新幹線のチケットをホームページ上で購入している場合も、請求書や領収書をダウンロードして提出してもらい、保存しておかなければなりません。このように電子取引は多岐に渡りますので、まずは自社での対象となる電子取引の洗い出しが必要となります。
次にやらなければならないことは、どのように保存しておくかということを決めなければなりません。保存には、専用の保存システムを利用する場合と利用しない場合がありますが、電子取引データの保存には、改ざん防止のための措置や可視性・検索性などの要件を満たす必要があります。
取引数が少ない場合は専用の保存システムは利用しなくても何とかなると思いますが、取引数が多い場合、今後ペーパレス化に伴い電子取引が増加する事が考えられる場合は、専用のシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
最後に、現在、社会全体としてデジタル化を推し進めていく中で、今後より一層、中小企業もデジタル化の波が押し寄せてくると考えられます。今回の改正を機に、自社の業務フローの改善を考えてみてはいかがでしょうか?
イワサキ経営グループ 監査部一課 善田 智洋
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