イワサキ経営スタッフリレーブログ

2022.11.15

信じて託す~家族信託~

近年よく「平均寿命と健康寿命」という言葉を耳にすることが増えてきました。健康寿命とは、日常生活を制限されず健康に生活できる期間の事を指し、誰かの力を借りずに生活できる状態を言います。人生100年時代と言われる中で、健やかな人生を送るためには健康でいることが欠かせない要素です。

厚生労働省の発表データによると、令和元年度の男性の平均寿命が81.41歳、女性の平均寿命が87.45歳となっています。しかし健康寿命については男性72.68歳、女性75.38歳となります。その差は男性で8.73歳、女性で12.06歳となっています。

認知症のおよそ半分はアルツハイマー病とされていますが、医療の観点からは、アルツハイマー病の病理に作用する唯一の薬としてCF.ADUHELM(アデュカヌマブ)という薬があります。現在は販売承認申請中となっており、もし承認がされて薬により治療が受けられる場合の費用は、年間の治療費が約610万円となると公表されています。

もし男性が72歳でアルツハイマーとなり平均寿命で亡くなった場合で考えると、610万円×8年間で4,880万円必要となり、老後の生活資金も加えると一般の家庭では資金を工面するのがかなり難しい状況だと思います。

ところで、認知症になり意思能力を喪失すると、以下のような重要な手続きができなくなります。

  1. 不動産の売却
  2. 銀行預金の引き出し
  3. 遺産分割協議
  4. 相続対策 等

基本的には法律行為が一切できなくなりますので、預金の管理や、登記申請、養子縁組の届出も状況によっては難しくなります。

では、認知症になってしまう前にどのような対策をしていけばよいのでしょうか。
認知症対策として注目されている一つとして【家族信託】があります。
信託とは自分の大切な財産を、信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って大切な人や自分のために運用・管理してもらう制度です。

信託は意思能力が喪失しても、財産管理をする人を指定することによって、法律上の認知症問題を解決する事ができる制度となります。信託の対象とする財産は法律上、財産権であれば何でも信託可能です。

成年後見制度との大きな違いは、財産を自由に処分、活用できる点です。

相続を考える際には、任意後見制度の活用、遺言書の作成と併せて信託を検討するのも良いのではないでしょうか。

イワサキ経営グループ 資産税課 八木貴大

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