イワサキ経営スタッフリレーブログ

2022.10.04

優しさとは何か?

安倍元首相が亡くなりました。大変衝撃的なニュースでした。犯人を憎む報道が溢れました。以前から、テレビの報道を見ていると、ひとたび悪者をみつけたら徹底的に叩くと言う類の報道が溢れているように思います。

人は、公正世界仮説や勧善懲悪が好きです。公正世界仮説とは、「地道に努力すれば報われる」とか、「怠け者には天罰が下る」などという、すべての正義は最終的には報われ、すべての罪は最終的には罰せられるという考えです。

しかし残念ながら、この公正世界仮説は本当ではありません。もしもそれが本当ならば、水戸黄門のような勧善懲悪ドラマがあれほどのロングランにはならならないのです。現実は、違う仕組みと力が働いていて、世の中不平等だと感じている人が多いから、水戸黄門が悪代官をやっつける姿を見て溜飲を下げるのだと思います。

ではこの不平等な世の中で、私たちはどのように行動するのが正しいのでしょうか?私の母は小さい頃から他人に対しては他人の気持ちになって考えるよう、他人の立場になって考えるように、他人に優しくあれと教育してくれました。母が間違っていたとは決して考えませんが、他人の立場に立って考えるとか、他人の気持ちを推し量るとか、本当にできるでしょうか?

今回の安倍首相を狙撃した方の立場を、我々は共有できるでしょうか?決してその方の肩を持つ気は起こりませんが、でも世の中で孤立し、行き場がなかった事は察することができます。その方を徹底的にたたくことは、世の中をよくするでしょうか?私たちはどうすれば優しくなれるのでしょうか?

私は人の立場に立つなどと言う事は無理なんじゃないかと思います。所詮は生きている環境によって立つ文化も違うわけですから。ならば、どうすれば良いかと言うと、人の話に耳を傾けること以外にないと思うのです。相手の主張を傾聴し、自分と相手との距離を推し量り、その距離を縮める妥協点を探す。相手を理解するなどと言うおこがましいことを言わず、相手との立場や文化の違いを認識し、これを受け入れた上で、自分との接点を模索する。

企業や社会が成長するには、ダイバーシティーが大切だと言われています。私と他人は違うという事実を認め受入れたうえで、相手が自分の理解の範疇にいないと排他的に構えるのではなく、相手の話を傾聴し、接点を模索する地道な努力を続けることがダイバーシティーを実現します。優しさとは、既成概念の眼鏡をはずして、コミュニケーションをとろうとする姿勢、相手を知ろうとする姿勢、自分との距離を縮めようとする努力だと考えます。

そろそろ、水戸黄門から卒業したいものです。

イワサキ経営グループ 資産税課 小宮山 麗子

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