イワサキ経営スタッフリレーブログ
2022.04.09
事業承継の取り巻く環境
全国382万企業のうち、99.7%が中小企業、85.1%が小規模企業であり、中小企業等が地域経済や雇用を支えている役割は非常に大きい。
経営者の事業承継に対する意見を見ていくと「事業をやめたい」と回答した小規模事業者の廃業希望する理由を見てみると、後継者に関連した項目が半分以上を占めていることがわかる。
後継者難の内訳を見ると「息子・娘に継ぐ意思がない」、「息子・娘がいない」といった子どもへの事業承継が難しいことが約6割を占めている状況がある。場合によると、事業が黒字でも廃業を選択する経営者もあるという事になり得る。
つまり、中小企業の経営者は、社外の第三者を含めた親族以外による承継を選択することも企業を存続させていく方法であり、近年は増加傾向にあります。
親族以外を後継者とする理由としては「役員・従業員の士気向上が期待できる」、「役員・従業員のからの理解を得やすい」といった役員・従業員との関連したものである。しかし、親族を選択する理由も「血縁者に継がせたい」に加え、自社株式等や借入金の個人保証の引継ぎが容易であること、金融機関との関係維持が容易であることといった企業の財務・経営資産に関連する項目が多く挙がられている。
また、もう一つの方法としてM&Aという手法も報道されることを目にする機会が多くなってきています。
M&Aには過去には「身売り」や「乗っ取り」といった印象のお持ちの方も少なくないと思いますが、日本のM&Aの成約件数は2011年から増え続け、2019年には初めて4000件を超えました。2020年こそは新型コロナウィルスの影響もあり減少しましたが、年の後半からは前年対比で増加に転じています。
後継者不在企業の増加と2012年から始まった金融緩和策により、市場に資金溢れて、投資の一環としてのM&Aを考える企業が増えていることも要因です。つまり、事業承継問題の解決するために会社を譲渡したい企業と買収で会社を発展したい企業が増えているのです。
中小企業庁が2017年に打ち出した事業承継支援を集中的に実施する事業承継5ヶ年計画を皮切りに、中小企業の経営資源の引継ぎを後押しする「事業承継補助金」の運用、経営・幹部人材の派遣、M&Aマッチング支援など円滑な事業承継に向けたサポートが進んでいます。
こうした国の後押しもありM&Aは中小企業にも浸透していくものと思われます。
イワサキ経営 取締役 高島 正明