イワサキ経営スタッフリレーブログ
2019.09.30
最低賃金の役割
最低賃金が多くの都道府県で今年の10月に引き上がりました。
東京都では1,013円に引き上がりましたが静岡県では858円のままです。日本では都道府県ごとでこのように最低賃金が異なるため、東京都と静岡県では現在155円もの最低賃金の格差が出ています。実は、世界の最低賃金制度によると全国一律性が主流であり地域別で最低賃金を決めている国は中国、インドネシア、カナダのような発展途上国か連邦国家で面積が大きい国で日本のように面積が狭く47都道府県も地域別設定がされている国は珍しいのです。
それでも地域別に最低賃金を決める事には理由があります。例えば、東京で最低賃金1,000円、静岡で500円だと仮定した場合、1時間で雇用する事ができる人数は東京では1人、静岡県では2人になります。静岡県では雇用する事ができる人数が多くなるため失業率が下がります。
一方、東京で働くと静岡県で働いた場合の2倍の金額を稼ぐ事ができるため多くの人が東京で働きたいと考えます。多くの人が職を求めて東京に移ったとしても東京では1時間の労働で企業側は1,000円の労働コストがかかるため、限られた優秀な人材のみ働くことができ働けない人が出て失業率が上がります。東京で職を探し続けて収入が0円のままか、静岡で働いて安定的に500円を得るか選択にせまられるでしょう。
また、企業側ではなるべく人件費を低コストに抑える事ができる静岡に会社を移したいと考えて移転する会社も出てきます。このように地域別に最低賃金を設定する事により労働移動が起こり経済の好循環を生み出すことができます。しかし、デメリットもあり地域により働く人の生活水準に格差が起こってしまうのです。
また、最低賃金を上げすぎると企業側は労働コストの上昇につながり経営を圧迫して倒産につながりかねません。ただし低賃金労働者を使った競争力の低い企業が生きながらえる事は経済にとっては良くないため、より競争力をつけるためには最低賃金を上げて企業側の競争力を促す必要もあるのです。この例では、極端な最低賃金ですが、最低賃金が高すぎても低すぎても地域によって差がありすぎても問題があるため適切な最低賃金を決める必要があるのです。このように、最低賃金制度は経済にとって非常に重要と言えます。そのため、もっと多くの人が最低賃金について関心をもって欲しいと思います。
~推進二課 安部和人~