イワサキ経営スタッフリレーブログ
2018.12.28
消費税の変遷と実態
消費税増税が来年10月に予定されているこの時、今一度、消費税の実態を認識する必要があるかと思い、その実態を考察してみました。
我国において、消費税が導入されたのは、1989年でした。当初の税率は3%。その後1994年に地方消費税1%が加えられ計4%に、1997年には、消費税4%に改定され計5%に、そして、2014年には、消費税6,3%地方消費税1,7%に改定され計8%になりました。
我が国の消費税は、このような変遷を辿ってきたわけですが、では、消費税が導入された理由は何だったのでしょうか。
国際的にみて、消費税を最初に導入した国はフランスでした。1954年に第二次世界大戦の立て直しのために導入されました。一方、我国においては、前述しました1989年に導入されました。この導入目的は、少子高齢化による社会保障・社会福祉の為の財源確保と言われていました。超高齢化社会が差し迫り、現役世代の減少と世代間の税負担のアンバランスが叫ばれ始めたからです。また、消費税導入により物品税が廃止され、税収確保のバランスの見直しも同時に行われたのです。
では、我国の税収に占める消費税の割合は、現在どの程度なのでしょうか。財務省がよく強調していることは、国際的にみて消費税率8%より低いOECD加盟国は、アメリカとカナダだけであるので、消費税率を引上げる必要があるといいます。ところが、我国の税収に占める消費税の割合は、22.6%と福祉国家デンマークの20.3%よりも多いのです。(2015年OECDデータ)
我国の税収は、国・地方を合わせると約96兆円です。この税収の内訳は、所得課税(法人税・所得税・住民税・事業税)約50%、資産課税(固定資産税・相続税)約15%、消費課税(消費税・酒税等)約35%となっています。また、個人に対する所得税等が約30%、消費税・地方消費税が約22%、法人に対する法人税等が約20%です。さらに税目別の推移においては、所得課税が長期低落傾向にあり、消費税は比較的安定傾向にあると言われています。
以上の消費税の変遷と実態をどのように捉えるか。様々な考え方が有ろうかと思いますが、少子高齢化がいずれにしろキーポインであり、赤字財政が福祉行政充実のマイナス要因であることは否めない事実なのです。
~監査役 宮川良太~