イワサキ経営スタッフリレーブログ
2017.10.19
早期経営改善計画作成の薦め ~善田 智洋~
平成29年5月29日より中小企業庁から早期経営改善計画策定支援が開始されました。資金繰り管理や採算管理等の早期経営改善を支援するというもので、経営者自身が自社の現状と課題に真剣に向き合うことで、どんな状況の変化にも対応できる強い会社づくりに取り組んでもらおうというねらいがあります。また、この制度は従来あった経営改善計画をより簡潔にしたもので、金融機関からの条件変更等の金融支援を必要としない、ハードルの低い簡潔な計画となりました。
制度の特徴としては、①認定支援機関(税理士等)の助言を受けて簡易な手続きで計画を作成できる。②作成費用(モニタリング費用を含む)の1/3は企業が負担するが、2/3は国が支援する(上限20万円)。③計画策定から1年後にモニタリング(改善の進捗チェック)が受けられる。④必要に応じて本格的な経営改善や事業再生の支援策の紹介を受けられる。ということです。
それでは簡易な計画とはどのようなものを作成する必要があるのでしょうか?まずは自社の現状を過去の業績推移や、経済産業省のホームページからもツールがダウンロードできる「ローカルベンチマーク」等で確認し分析します。次に取引先の構成等を記載した「ビジネスモデル俯瞰図」を作成します。そして現状の問題点を洗い出し、経営課題と改善策を検討し、「アクションプラン」を作成します。そこから「資金実績・計画表」や「損益計画」を作成し完成です。提出から1年後には「早期経営改善計画」の進捗状況のモニタリングを行い計画との差異をはかります。この制度自体はここで終了となりますが、その後も自社においてモニタリングを繰り返し、経営者が掲げる自社の将来像に向け軌道修正しながら進めていことが重要になります。
これまで中小零細企業では成り行き経営が多く行われてきたように思われます。現状の経済環境スピードを考えると、計画もなく闇雲に突き進んでいくとどこに行きつくかもわかりません。この制度は「早期」という名前がついていますが、自社が病気になる前に「早期発見」をし、重症化する前に予防できるように手を打っていきましょうという思いが込められています。一度自社を見つめ直し病気になる前に「早期経営改善計画書」を作成することをお薦めいたします。