イワサキ経営スタッフリレーブログ
2016年07月
2016.07.21
他人ごとではない相続税申告 ~山田 憲義~
相続の仕事に就いて久しくなります。
この数年間で多数の案件を経験してきましたが、ここ数年で一番大きく変わってきたのは27年1月1日から適用された相続税の増税に関する事でしょう。
当社でも増税に関するセミナーを開催したり、関与先様に注意を促したりと監査職員は過敏になったものでした。やっと、最近になって落ち着いてはきたものの、実際に相続を体験した方々はいろいろな思いがあったようです。
27年の年明けに夫を亡くしたある奥様は申告の対象になると知って『お父さん、なぜ、去年のうちに死んでくれなかったの?』と言っていました・・・・・笑えないブラックジョークのような本当の話です。
ここでは、よくありがちな例を紹介したいと思います。
実父を亡くしたAさんは妹が一人いるだけで、預金の解約手続き、不動産の名義変更のみで、特に財産もなく贈与税等も記憶にないという事で手続きは簡単に進みました。
ある日、遺品の整理をしていると、姉妹名義の申告書が出てきました。それは贈与税の申告であり『相続時精算課税制度』を適用したものでした。贈与を受けた財産は株券で、相続時精算課税を適用しているために贈与税の支払いもありませんでした。
姉妹によると父が生前に株式を税金が掛からないようにして名義変更をするよう、言ってましたとの事。以前の事を思い出し税理士に依頼して申告をしたことがわかりました。
結果として相続財産は基礎控除額を超えて相続税が発生することとなりました。相続時精算課税制度をあまり深く理解しないで、その時の税金を掛からないようにする手段と思っている方が多いように思える事案でした。
相続時や贈与には落とし穴が隠れています。
自己判断で進めると大変な事になるかもしれません。専門家に相談して注意深く進めていく事が安全であると心していただきたいものです。
2016.07.21
中小企業 2030年に消滅? ~山部 哲~
『日本経済を支える中小企業が「消滅」の危機を迎えるかもしれない。経営者の中心年齢は2015年に66歳となり、この20年で19歳上がった。円滑な事業承継や若者の起業が進まなければ30年には80歳前後に達し、いまの男性の平均寿命とほぼ並ぶ。早く手を打たないと厳しい未来が現実になってしまう。』(日本経済新聞平成28年6月6日朝刊)という記事を目にした方も多いと思います。中小企業庁が経営者の年代別の人数を調べたところ、15年のピークは66歳。1995年は47歳だったため、毎年ほぼ1歳ずつ上昇している。単純計算すると2030年には80歳に届く計算で、多くの企業が存続の判断を迫られることになるとのことです。
日本では企業数の99%超、働く人の70%を中小企業が占めると言われています。全ての中小企業が消えることはないとしても、日本経済、地域経済に与える影響は非常に大きいです。
こうした未来を避けるには、早いうちに世代交代をすることが重要になってきます。しかし、安定志向の若い世代はリスクとリターンの両面で二の足を踏む傾向にあります。
中小企業経営者の個人保証[経営者保証]という慣行が残る上、大企業と比べると収益性は低いです。中企庁の調査によると、「積極的に投資していく必要がある」と考える49歳以下の経営者は32%。70歳以上の21%を上回ります。経営者の若返りができれば、中小企業や地域経済の活性化につながる可能性があります。
M&Aを含め、経営者が代わった企業の利益率は高くなる傾向があるという統計データがあります。経営者が交代した企業の経常利益率は1.88ポイント上昇し5.50%。交代しなかった企業は3.37%と1.16ポイントの改善にとどまったとのことです。
データから見ても経営者の高齢化に伴い、積極投資や収益性が低下してくるのは間違いがないため、事業の継続・更なる発展のためにも、後継者への事業承継を積極的に行うか、M&A等による第三者への経営承継も積極的に検討すべきであることは逃れられない事実です。
中小企業を消滅の危機から救うのは、現経営者の積極的な最後の経営判断によるものが大きいと実感しています。
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