イワサキ経営スタッフリレーブログ

2012.06.28

相続・事業承継対策に信託活用のススメ ~吉川 正明~

 近年、親の遺産争いや事業承継における後継者問題などで頭を悩ませている方が増加しております。

遺言、生前贈与、事業承継円滑化法の活用など、相続・事業承継対策にも様々な手法が考えられますが、ここで最近増加傾向にある信託の活用についてご案内します。
信託というと、信託銀行や投資信託をイメージされる方も多いかもしれませんが、ここでいう信託とは「財産管理の一手法」です。
通常の遺言であれば、自己の資産を誰に相続させるかという一代までしか資産の承継先を指定できません。それを引き継いだ人が、その先どのように資産を承継させるかを拘束することができません。
しかし、信託の仕組みを導入することで、2次相続発生以降の代々にわたる資産承継者の指定まで踏まえた資産承継の道筋を作り上げることができます。つまり、妻子のいない方や子供のいない夫婦の最終的な財産の行方を指定したり、あるいは株式の承継に伴う円滑な事業承継の流れを自分一人の意思で決定し実現することが可能です。
また、判断能力のない方向けには成年後見制度がありますが、これを利用すると相続税対策や積極的な資産運用はできなくなります。
そこで、元気なうちから資産の運用・処分方針等を決定した上で、信託契約において信頼できる親族等を受託者として資産を預けることで、これらを実現することができます。
これは、信託が持つ「意思凍結機能」を活用したもので、一旦信託を導入すれば、その後は委託者の判断能力の喪失の有無を問わずに、信託の目的に従って信託財産の管理・処分が可能になります。これにより、成年後見制度の利用では実現できなかった相続対策・資産承継対策が、ご本人の亡くなるギリギリまで講じることができるようになります。
それ以外にも信託の持つ様々な機能・メリットを活用することによって、本人の想いを法律的な形にし、財産管理と資産承継について、安心して現在から未来に繋げることが可能となります。
事業承継にお悩みの際は、こんな方法もあるということを是非知っておいていただきたいと思います。

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