イワサキ経営スタッフリレーブログ
2009.05.18
退職する年齢から逆算する資産運用 ~勝又健太郎~
2007年のサブプライム・ローン問題に端を発した世界的な金融危機は、アメリカの住宅バブルの崩壊によってはじまりました。アメリカ政府はこの未會有の金融危機に対応するために次々と経済財政政策を打ちだし、実行しています。この対応は「失われた10年」の時の日本政府の対応と比べて非常に迅速に行われています。利下げ、金融緩和、法整備、金融機関処理、公的資金注入、金融再編、実質ゼロ金利、量的緩和導入、自己資本増強・・・。これらは日本政府が10年以上かけて行った経済対策ですが、アメリカ政府はわずか1年の間に次々と実施しています。景気対策への効果はいまだ限定的に見えますが、この迅速な対応策の実行を見るに、現状に対してそれほど悲観することはないのかもしれません。
そんな状況のなか、我々個人が将来設計をするならどういう考え方を持てばよいのでしょうか。ライフプランを検討する際、例えば、平均的な給与収入が年間500万円だとすると、大学をお卒業してから、65歳になるまでの43年間で2億1,500万円稼ぐことになります。稼いだ収入の一部は、貯蓄に回り年々金融資産の割合が大きくなっていきます。30歳の人が300万円の金融資産を保有している場合、この300万円が全体に占める比率は意外と少ないことがわかります。43年間で稼ぐ2億1,500万円のうち、2割が最終的な貯蓄に回せるとしても4,300万円になりますので、その比率は7%弱になります。このように考えると、30歳の人が保有する300万円を将来のために運用していこうとすれば、投資期間が長いだけでなく、資産全体に占める比率も少ないことから、積極的な運用を検討すべきでしょう。そして年齢を重ねるごとに、また金融資産の割合が大きくなるにつれて、リスクを抑える管理がより重要になっていきます。
自分が退職を迎える年から逆算して将来のために今どういった投資行動をとるべきか、これは世代によって変わります。よく「お金に色はない」とは言いますが、将来のために使うお金についてはしっかりと色分けし、若年世代は時間をかけてある程度積極運用、ミドル世代はバランス運用、リタイアメント世代は貯蓄の保全というように自分の年齢に合った運用も考えていきたいものです。