イワサキ経営スタッフリレーブログ
2008.05.20
安心して子供を育てられる社会を ~菊池美佐子~
先日、「2人目が産めない・・・」というタイトルのインターネットコラムを読んだ。とある2家族の事例が紹介されていた。いずれの家族も夫婦とも30代半ば、第1子はじきに小学校入学という学齢で、自身たちの年齢的にも兄弟間の年齢差を考慮してもそろそろ限界を感じている。しかし、妻は片方は看護士、もう片方は大企業の総合職と同世代の女性平均より高い収入があるものの、夫の収入は平均より若干低め(片方は契約社員、もう片方は脱サラしたがまだ事業が波にのっていない)で、妻の収入が生活していく上で不可欠という状況である。ここで2人目をもうけ、妻の収入が途絶える又は激減する場合、夫の収入だけでやっていけるか、ということである。
一般的にも女性にとって30代後半からの子育ては、若い頃に経験したそれと比較すると体力的にかなりきつくなる。職場復帰も同様だ。大方の企業は育児休暇が1年間とれるが、1歳になったばかりの子供を保育園に預けながらフルタイムで働くのは、体力的にも精神的にも相当の覚悟が要る。昨今は男性も家事・育児に協力的な人が増えているそうであるが、それでもやはり家事・育児においてはまだまだ女性の負担が大きいのが現実である。
様々な要因を鑑みた上で、上記の2家族は2人目の子供を諦めるという結論に達した。自身たちの経済的状況の問題のみならず、給料は上がらないのに物価ばかりがどんどん上がるという現在の日本においては、家族が増える喜びよりも、将来に対する不安の方が大きいのだ。
ガソリンを含む揮発油税などの租税特別措置関連法が期限切れとなり、4月に暫定税率が一時失効した時、ほとんどの自治体の首長が「早期段階での復活を望む」と回答したそうだ。ガソリンの暫定税率は道路整備の拡充に使われる道路特定財源である。道路整備は経済の活性化を促し、その建設においては雇用を生む。だが、立派な道路が通っても、そこを通る人は今後どんどん減っていくのだ。自分たちの意思で子供を持たないという選択をする夫婦がいるのもまた事実ではあるが、経済的不安を抱えた若い世代は、生まないという選択をせざるを得ない、そんな悲しい世の中になってしまっているのだ。
子供を生めよ増やせよと政治家は躍起になって手当てを厚くする法案を議論しているが、国家における支出やムダを減らし、安心して子供を生んで育てられる社会にすることが先決なのではないだろうか。復活した暫定税率を一般財源化する議論もされているが、国民の将来に対する不安を払拭し、若い世代が希望を持って暮らしていける社会を実現していくための有効な使い道を考え出してほしいと切に願っている。