イワサキ経営スタッフリレーブログ
2025.04.17
人的資本経営
人的資本経営は、従業員を企業の重要な資本として捉え、その能力を最大限に引き出すことで、持続的な成長と競争力向上を目指す経営手法です。
デジタル化の進展やグローバル競争の激化、ESG投資の拡大により、その重要性が高まっています。特に知識集約型産業では、従業員のスキルや創造性が競争力の鍵となるため、人的資本の戦略的管理が企業の成功に不可欠となっています。
人的資本経営が求められる理由は三つあります。
第一に、企業の競争力向上に直結する点です。優れた人材の確保・育成・適切な配置により生産性やイノベーションが向上し、特にデジタル技術の進化が速い現代では、従業員のリスキリングやスキルアップが不可欠です。
第二に、投資家やステークホルダーの関心が高まっています。2020年に米国証券取引委員会(SEC)が人的資本の情報開示を義務付け、日本政府も「人的資本可視化指針」を策定するなど、適切な管理と開示が企業価値向上に直結するようになっています。
第三に、少子高齢化による労働力人口の減少に対応するため、多様な人材が活躍できる環境整備が求められています。実践には、まず企業のビジョンや事業戦略に基づいた人材戦略の明確化が必要です。必要なスキルや経験を特定し、それに基づいた採用、育成、配置を行うことが重要です。また、組織文化とエンゲージメントの向上も求められます。従業員のモチベーション向上は生産性の向上につながるため、心理的安全性の確保、キャリア開発の支援、ワーク・ライフ・バランスの改善が不可欠です。さらに、人的資本の可視化とデータ活用も重要です。従業員のスキルやエンゲージメント、教育投資などを定量的に測定し、経営戦略に反映させることで、より効果的な人材管理が可能となります。
人的資本経営は今後ますます重要になり、企業の成長と従業員の成長を両立させる鍵となります。成功には経営層の積極的な関与が不可欠であり、人事部門だけでなく全社的な取り組みとして推進する必要があります。単に人材を管理するのではなく、その価値を高める経営が求められています。加えて、テクノロジーの進化と社会変化に柔軟に対応できる人材育成システムの構築が、これからの企業経営において最も重要な戦略的課題となるでしょう。
イワサキ経営グループ 経営支援課 齊藤直也