イワサキ経営スタッフリレーブログ

2024.12.18

研究開発税制のすすめ

研究開発税制とは、企業が行う研究開発活動を支援するための税制優遇措置です。具体的には、企業が支出した試験研究費の総額のうち、一定の割合を法人税から控除してくれるというものになります。対象となるのは青色申告をしている法人で、確定申告の際に必要書類を添付することで申請ができます。適用要件に試験研究に関する経費である事が明確な勘定科目にまとめて処理をする方法か、財務諸表に研究開発費の総額を注記し、その明細を社内で保管しておく方法のどちらかをする必要があります。

ここでいう試験研究費というのは、製品や技術の製造・改良・考案・発明のためにかかった費用のことで、原材料や人件費、その他経費がすべて含まれます。ただし、外部から資金の提供を受けている場合にはその金額は含まれません。また、人文・社会科学関係の研究は対象外となります。

研究開発税制には、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」、「中小企業基盤強化税制」、「特別試験研究費の額に係る税額控除制度」の3つの制度によって構成されています。

税額控除できる金額は、以下の算式で求めます。

・税額控除額=試験研究費×控除割合

この研究開発税制の適用について財務省の租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書(令和6年2月国会提出)資料によると適用件数は令和2年度9,230件、令和3年度9,707件、令和4年度16,402件と右肩上がりに適用件数が増えており、適用額もまた令和2年度5,053憶円、令和3年度6,527憶円、令和4年度7,636憶円と増加しています。ただし、他の租税特別措置と比べるとまだまだ適用件数が少ないように感じます。この資料によると「給与などの支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」の令和4年度適用件数は215,294件、「中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除」の令和4年度適用件数は29,254件となっており、研究開発税制の適用は圧倒的に少なく認知度が低いことが窺えます。また、試験研究費の内容によってこの制度を適用できるかどうか判断をつける事ができなく適用を受けない中小企業、適用を進めない会計事務所がある事も適用件数が少ない要因だと思います。

この制度は、中小企業が技術革新を進めるための大きな支援となります。ぜひ、活用を検討してみて下さい。

イワサキ経営グループ 監査部 安部和人

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