イワサキ経営スタッフリレーブログ
2024年11月
2024.11.20
値上げは悪なのか?
物価高騰による原価・固定費増加に伴い、ここ数年で値上げという言葉が多くの中小企業を悩ませています。
2022年12月に実施した帝国データバンク調査によると、価格転嫁ができない理由として、「取引企業から理解が得られ難い」が39.5%と最も多く回答されており、さらに「自社の交渉力」「消費者から理解が得られ難い」「契約の制限がある」と続くように、取引先企業などからの理解を得るのが難しい実情がうかがえます。
値上げの捉え方は各々に応じて異なりますが、「値上げを通じて利益を増やし、資金繰りが回る状態にしたい」
これを実現させる収支構造のイメージを作ること、そして値上げの価値をつくり、その価値を伝える工夫をすること、大きく2つが必要になります。
1つ目の収支構造のイメージを作るために、今の収支構造を知る、そして理想の収支構造を知ることが重要です。
現在の収支構造を知るために、会社全体で売上に対する利益率、売上利益に対して人件費の割合、固定費の割合、残りの利益に対する税金の割合、この構造を抑えることで、従業員1人1時間当たりの価格設定、役員報酬と収益のバランス、補助金頼りで損をしない新規事業立ち上げシミュレーションなどの理想の収支構造を把握することが出来ます。
2つ目の値上げの価値を伝える工夫を作るために、まずは値上げを恐れる理由を抽出することが必要です。
客離れが不安、相場観に縛られていて批判されるのが怖い、値上げする理由をお客様に説明できない、過剰な期待が怖いなど、多くあげられますが、そのサービスがもたらす経済効果を算出、お客様が悩んでいるどの役割を代替するかを言語化し、自社の競合優位性を事前に調べておくことで自信を持って値上げをすることが出来ます。
冒頭に話しましたが、利益を増やし、資金繰りが回る状態にすることが出来れば、無理に値上げをせずともサービス内容を縮小し、現状の価格帯でも経営状況に大きな影響を及ぼしません。
ただ、経営の大変革期に対応していくために、自社商品について、競合優位性、価値の経済効果、その他役立つ事項を常日頃から考え、アップデートしていくことが必要になると思われます。
イワサキ経営グループ 未来設計支援課 富山友登
2024.11.05
制度改正とその対応
2024年も残り1/3となりました(当内容は9月に執筆したものとなります)。昨今の物価高騰の影響により業績が不安定な事業者様も多いのではないかと思います。
さて、そのような状況下ではありますが、2024年4月に介護保険法・介護報酬が改正・改定されました。
その中で介護保険法改正については、本来は2022年末に介護保険部会での審議が落ち着き、2023年に介護給付費分科会で審議の後、介護報酬改定内容が確定し落ち着くものですが、今回に関しては異例の審議持越しもあり、関係団体からするとやきもきする事態でもありました。
当時審議持越しとなった論点のうち、介護事業者以外の事業者様にも関わるものとして、介護保険の負担についての見直しが介護保険部会にて審議されています。
こちらは、今からちょうど6年前にも同様の審議がされており、今に至るまで見送りとなっているものですので、既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、将来的に介護保険については、30歳から負担をする、という流れが見え隠れしております。
介護保険の負担者が増える、ということは事業者様の社会保険料の負担も増えるということですので、今回の制度改正に何ら対応をしない場合にはただただ経費増となる可能性が高く、これにいかに対応していくかが重要になると考えられます。
一般的には企業の経営成績をよりよくする方法は①売上の増加、②固定費の削減、③利益率の上昇が考えられます。
今回の場合では、社会保険料の増加という経費に該当するものが現状のままでは純粋増となりますので、企業の経営成績を維持・向上していくためには①については新たな販路拡大など、取引先・取引量を拡大するほかありません。
次に②についてですが、こちらは日々無駄の削減をしていく等の対応を実践していくことが考えられ、また③の利益率についても提供する商品やサービスの質を落とさない上で仕入等の変動費についてより安い業者を選定するといった対応を実践することが考えられます。
このように、一つの制度改正を例にしても油断なく対応していくことが今後の事業存続に関わってくるのではないかと思います。
イワサキ経営グループ 監査部 戸部 翼
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