イワサキ経営スタッフリレーブログ
2024.08.06
テクノロジーについて考えてみます
今から10年前から、IT発達による自動化で税理士業はなくなるといわれるようになりました。予想は実現し、フィンテックにより、会計の記帳作業は激減しました。会計の数字を受けて作成する税務申告書は確かにややこしいですが、法律が定めるルールに則った場合分けと四則演算ですから、全自動化することは可能です。
相続税の申告にしても、マイナンバーの普及によって、個人が保有する預金・有価証券・不動産の情報はガラス張りになりつつあります。「北海道の果てにある地銀に預金すればバレない」時代は過ぎ去ったわけです。
「税理士の税務申告」事業は風前の灯です。ですが、どういうわけか日本では、税務に関するリテラシーが極端に低く、国民にとって税金が超わかりづらいという現実は変わりません。そのせいか、税理士業務の内、税務コンサルティング業務はなくならないと言われます。
つまり、税理士は変わる必要があるのです。製本した申告書やラベリングした元帳を納品することに価値はありません。自動でできた数字をクラウドでデータ共有すれば事足りますから。税理士は税務の分野において、納税者が困っている問題を解決し不安を退治することにこそその価値があります。我々が注力するべきは、作業ではなく、納税者の困りごと(税金が高すぎる、資金繰りがうまくいかない、事業の拡大を計画したい…)を解決するための提案です。
これは、何も税理士業のみの話ではあありません。AIをはじめ、新しいテクノロジーが席捲しています。歴史を見ると、「新しいテクノロジーを使う人」と、「テクノロジーを使う人に使われる人」の間では、大きな貧富の差が生まれてきました。今我々が直面している第4次産業革命は、もっと大きな二極化を生むでしょう。なんてったって中間ホワイトカラーの仕事がごっそりなくなるか、最低賃金労働になりさがります。
このテクノロジーの進化が生むであろう二極化を考えると、ここから逃げる選択肢はありません。設備投資を考える際は、良質な情報を得たうえで最先端の新しいことやものにチャレンジするのが正解です。その上で「人でなければならぬ部分」を極めることのみが価値を生みます。
理由を見つけて逃げたくなる気持ちはよくわかります。変化は面倒ですから。でも現実は現実です。ここは一発踏み出す勇気が必要です。
イワサキ経営グループ
相続資産税課静岡 小宮山麗子