イワサキ経営スタッフリレーブログ
2023.05.10
心理的安全性
心理的安全性とは、“psychological safety”の日本語訳で、組織・チームの中で、対人リスクを恐れずに思っていることを気兼ねなく発言できる、話し合える状態を指します。この概念は、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソンが1999年に発表した論文が最初でしたが、注目が集まったのは、Googleが2012年から約4年をかけて社内で行った実験「アリストテレスプロジェクト」で、「チームの生産性・パフォーマンスを高める最大の要因は心理的安全性である」という結果を公表してからです。
チームの心理的安全性とは、このチームでは素直に自分の意見を伝えても対人関係を悪くするような心配はしなくてもよいという信念が共有されている状態をいいます。エドモンドソンは、心理的安全性を阻害する要因は人が感じる“対人不安”だと言っており、次の4つを挙げています。「こんなことも知らないのか?」と思われる不安(無知)、「こんなこともできないのか?」と思われる不安(無能)、気難しく一緒に仕事をしづらい人だ」と思われる不安(ネガティブ)、「空気を読まない人」だと思われる不安(邪魔)です。例えば、会議やミーティングで上司や同僚の目を気にせず“言いたいこと・言うべきことを率直に言える状態”のことです。この“目を気にせず”というのは、どう思われても関係ないということではなく、自分がチームにとってネガティブな発言や他のメンバーと異なる意見を言っても、他のメンバーが悪く思ったり、疎ましく思ったりしない、上司からの評価が下がらないと感じていることです。
未だに上意下達が強い組織では、下の者は、上の者の言うことに従えばよい(従うべきだ)という規範や風土があり、心理的安全性など必要ないと考える経営層もいるでしょう。
しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大のように予期しない出来事によって、あらゆる組織が変化への対応を余儀なくされる時代になっています。また、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)、ダイバーシティ(多様性)が進む時代において、必要な情報や提案がタイムリーに伝わり、目標達成へのプレッシャーから生まれる不正行為が無くなり、失敗の中から学びチャレンジしていく仕組みや組織風土(心理的安全性の確保されている職場)は、企業が生き残っていくためには必要不可欠の条件となって行くでしょう。
イワサキ経営グループ 営業企画課 小林直己