イワサキ経営スタッフリレーブログ
2022年07月
2022.07.30
インボイス制度
令和5年10月1日からインボイス制度がスタートします。
インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことをいい、適格請求書(インボイス)の発行または保存により、消費税の仕入税額控除が受けられるという制度です。逆に言うとインボイスを発行または保存していなければ仕入税額控除が受けられない(=支払った消費税を消費税申告の際に経費に入れられない)ということになります。
インボイスの要件は現行の「①請求書発行事業者の氏名又は名称②取引年月日③取引の内容④税率ごとに区分して合計した対価の額⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」が請求書に記載されていることに加え「①登録番号②適用税率③税率ごとに区分した消費税額等」を新たに記載しなければならないとされています。
この登録番号というのは消費税の課税事業者が税務署に届けをして割り当てられるもので、免税事業者には割り当てられません。ここで問題となるのが「免税事業者が発行した登録番号の記載されていない請求書」を受けた事業者は、その取引で支払った消費税を消費税申告の際に経費にできないということです。これにより免税事業者は消費税相当額の値引きを要求されたり、場合によっては取引事業者の再選定(取引の停止)をされたりしてしまうような事態も想定されます。
取引先が消費税申告をすることのない業種(例えば学生向けの学習塾や居住用アパートのみの経営など)は問題ありませんが、お客様が消費税申告を行い、自社に支払った経費を申告する可能性のある業種の方は、対応を考える必要があります。免税事業者はインボイスの発行をできるようにするために課税事業者を選択し、消費税申告をする(=消費税を納税する)ようにするか、売上が減ってしまう可能性を考慮しながら免税事業者を維持するのかを選択しなければなりません。
また、制度の運用後にも経過措置として令和5年10月1日から令和8年9月30日までは80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%はインボイスでない請求書を受けた事業者の仕入税額控除を認められているため、自社の状況により課税事業者を選択すべきか否かは非常に難しい判断となります。
制度の内容を詳細に理解し、自社にあった制度の運用を考えていきましょう。
2022.07.11
相続登記が義務化されます
持ち主のわからない土地の解消を目的として、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。
持ち主のわからない状況とは、①亡くなった人の名義のまま変更していない。②持ち主が引越しをしても届け出をしていない。ことを指します。
土地が放置されてしまうと、公共事業や再開発事業がスムーズに進みません。災害が起きた時も復興に向けた用地の取得がむずかしく、取引ができないため、土地の利活用の妨げとなります。高齢化や死亡者数の増加などから今後さらに深刻化することが考えられます。
そのため今までは義務ではなかった「相続登記」「住所変更」に対して、期限を区切って確実に対策を講じていくことになりました。
「相続登記」とは、亡くなった人の持っていた不動産を相続人の名義に変更することです。文章にすると簡単ですが、この作業が一筋縄にはいきません。①書類を集め、②相続人で財産分けの話し合いをし、③話し合いの内容を書面に残す、作業が必要になります。
書類(戸籍など)を集めることも大変ですが、その後の財産分けの話し合いがこじれる場合があります。そうなると財産分けが決まらず、お互い連絡を取り合わなくなり、結果そのまま亡くなった方の名義で放置、となってしまいます。
これが「持ち主のわからない土地」の典型的な流れです。そのままにしておくと相続の権利が移り、子供から孫、ひ孫と、ネズミ算式に増えてしまいます。
「住所変更」は、例えば静岡に住んでいる父親が亡くなり、話し合いの結果、相続したのは東京に住んでいる「転勤族の長男」だとします。長男は「相続登記」をきちんと済ませました。法務局の登記簿に書き込まれるのは、長男の名前と「相続登記をした時点の東京の住所」です。転勤で名古屋・大阪と引越しをした場合、法務局の登記簿も変更しなくてはなりません。ところが法務局での住所変更はほとんどの方が忘れています。そのため持ち主不明の土地が増えてしまっています。
相続登記を放置していておとがめが無かった時代は終わります。ネズミ算式に増えた相続人を探し、遺産分割協議を行い、実印を押してもらう作業は、人数が増えるほど時間と費用がかかります。ここに過料の負担まで加わると大変なことになります。早めに相続登記が済んでいるか確認することをお勧めします。
イワサキ経営グループ 資産税課 山田克彦
- 1 / 1