イワサキ経営スタッフリレーブログ
2021年09月
2021.09.21
脱炭素社会実現に向けて
2020年10月、菅義偉内閣総理大臣は所信表明演説において「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
カーボンニュートラル(carbon neutral)とは元来環境に関する用語で、植物や植物由来の燃料を燃焼し、CO2が発生しても植物の成長過程でCO2を吸収しており、ライフサイクル全体でみると大気中のCO2は増加させず排出量の収支が実質0になるという考え方です。
近年では、それが概念化され、CO2の増減に影響を与えない性質や、二酸化炭素の排出量と吸収量のバランスが優れている状態を表す際にも、「カーボンニュートラル」と表現され、CO2排出量を削減するための植林や再生可能エネルギーの導入など、人間活動におけるCO2排出量を相殺することもカーボンニュートラルと呼ばれています。
このカーボンニュートラルを2050年までに実現化させるための戦略の一つとして、CO2排出に課金する「カーボンプライシング」の検討が政府内で始まっています。カーボンプライシングとは、「化石資源の消費によるCO2の排出」に値段(価格)を付けることです。化石資源の消費量やCO2排出量の削減を促し、CO2削減につながるエネルギーや技術の採用拡大、効率改善、設備投資、研究開発や、脱炭素型のビジネスモデルや経営への転換と投資を促すことを狙いとしています。
カーボンプライシングにより、各企業はCO2排出に関して費用を払うことになりますが、その反面CO2の削減量も価格化(クレジット化)され、CO2の削減量を商取引できるというメリットも出てきます。2019年には世界で約1億トン、約320億円相当のクレジットが取引され、ESG経営を促進するグローバル企業によるクレジットの争奪戦が行われています。またESG経営の拡大により、取引先にもカーボンニュートラルを求める企業も今後増加していくことが見込まれ、中小企業にとって他人事と捨て置いていい話ではなくなってきています。
脱炭素社会実現に向け、カーボンニュートラル促進に向けた補助金・税制などが多く出てくるかと思います。この波に乗り遅れないよううまく活用していきたいものです。
イワサキ経営グループ 総務部 佐野祐介
2021.09.05
脱ハンコは契約書にも有効なのか
政府が「デジタル庁」の新設などを行い、主要な政策の1つとして掲げている行政のデジタル化で、河野太郎票制改革担当大臣は押印の全廃することを2020年11月13日に発表しました。
日本には根強い押印文化がありますが、それによって生産性の低下・ペーパーレスの妨げ・テレワーク導入、定着のハードルとなってしまっているのが現状です。
これだけのデメリットがある押印文化がなぜ未だに残っているのか。
それは、実務上では本人であることの確認と本人の意思確認の方法として重用されてきたためです。
裁判などでも、本人の印章によって押印された書類があることで、立証の負担が軽減されています。
しかし、押印がされているから法的に認められるわけではなく、文書の成立経緯を裏付ける資料などがあり真正な立証ができるのであれば、押印などされていなくても良いのです。
では、表題にもある契約書にもハンコが押印されていなくてもその契約書は有効なのかについてですが、先述した通り「原則押印に法的な定めはない(特別な事項は除きます)」ので、押印のない契約書であっても法的には有効です。
そもそも本人の意思がしっかりと合致していれば契約書の作成も押印も必要な要件とされておらず、口頭でも契約は成立するのです。
賃貸借契約等は最近は減りましたが、以前は口約束で当人たちの話し合いの上、契約が交わされており契約書は存在しませんでした。責任の所在が明確になっていれば、契約書にも領収書や社内文書など多くの書類に押印は必須ではないのです。
しかし、そうはいっても責任の所在や意思確認が不明確になってしまいそうで不安です。
誰が文書の作成者か、文書の成立経緯を裏付ける資料を用意しておくといってもその作った書類にハンコを押してしまいたくなります。今後文書のデジタル化が普及して電子署名や電子認証サービスの活用が進むまでは、従来通りの書面に署名押印をして本人確認と当事者の意思確認を残すのもいいのではないかと私は思いました。
ちなみに、税務関係書類の押印も廃止されています。税務申告書提出の最終的な責任は代表取締役にありますが、会計事務所は提出前にこれまで以上の内容確認を行うことが大事になってきます。
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