イワサキ経営スタッフリレーブログ
2021.01.23
相続対策を考える時の3つの原則+α
第一の対策は争う相続(「争続」)の対策です。
「争続」というと、原因はお金です。そこに感情が入るから厄介になります。考えられる対策としては、遺言で遺産の残し方を明らかにして、争わないためのお金を準備する目的で生命保険に加入するなどが考えられます。相続税がかかる方もかからない方も必要です。争続に対する目処がついたら、次に相続税の納税を行うための対策です。原則現金で納税ができなければならないため、納税資金対策が必要となります。そして最後に節税対策を考えます。この優先順位を考えずに節税だけを考えてしまうと、承継がうまくいかなかったりすることがあります。
ところが最近、争続対策より、相続税対策より先に考え、準備が必要なこととして、認知症のリスクが出てきています認知症になってしまったら何がどう困るのでしょうか?民法上は意思能力のない者がした法律行為は無効です。記憶力や判断力が低下して医師から意思能力がない、または著しく低下していると診断された場合、その方が行った法律行為は無効 になる可能性があります。
例えば、以下のようなことが できなくなります。法律行為の無効が及ぼす具体的な影響 (1)身分行為(結婚、離婚、養子縁組、養子離縁等)(2)遺言(自筆証書、公正証書等)の作成・書換(3)預貯金の入出金手続き(4)証券会社の売買指示(5)生命保険契約(新規契約、既存契約の変更、保険金請求等)(6)贈与契約(7)不動産関連行為(売買、建築、建替え、管理等)(8)借入(9)信託契約(生産緑地は保全不可)、任意後見契約(10)遺産分割協議(11)相続放棄 etc… 認知症になってしまったら、できる相続対策は一切ありません。そこで、近年注目されている方法の一つに「家族信託」があります。
「管理する権利」とともに「収益する権利」も気持ちに合わせて、受け取る人を指定する契約ができますので、遺言の代わりにもなります。 ただしこの場合は贈与税が発生する可能性がありますので要注意です。家族信託は平成19年にスタートしかまだ若い制度なので、まだ周知されていないことも多々ありますが、認知症対策としては大変有効な手段です。認知症対策としてやるべきことは、早め早めの生前対策です。生前対策を行うには、ご自分が何をどれだけ持っており、この財産を誰にどう引き継がせたいかを把握する必要があります。
~八木 貴大~