イワサキ経営スタッフリレーブログ
2020.03.23
空き家問題
だれも住んでいない家や集合住宅の空室が増えている。総務省の調査では、全国にある空き家は2013年時点で820万戸にも上り、総住宅数6063万戸の13.5%を占める。このうち約6割に当たる471万戸はマンションなどの共同住宅で、すでに全国の住宅の7~8戸に1戸は空き家だ。空き家にも種類があり、「二次的住宅」「賃貸用住宅」「売却用住宅」「その他」に分類される。これらの中で明らかに問題とされるのは「その他」に分類される空き家である。
住宅があまっていながらも、都心部を中心にタワーマンションや新規住宅の着工が相次ぐ。郊外の庭付き一軒家から都心のマンションへと需要が変わってきたこともあるが、野村創業研究所の試算(2016年)では、このままいくと2033年には住宅の3戸に1戸が空き家となってしまう。資産価値が低い地方の古い空き家は、景観の悪化や倒壊の危険を招く。空き家だらけのマンションは管理費の回収がむずかしく、修繕や建て替えもままならない。
空き家だけではない。全国に所有者がわからない、わかっても連絡がつかない「所有者不明土地」が2016年時点で九州本土とほぼ同じ面積の約410万ヘクタールもある。これが年々、拡大している。所有者不明土地問題研究所の報告書では、2040年には16年の1.7倍に当たる約720万haに増えると試算されている。北海道(島嶼を含む)の面積(834万ha)の9割に当たる広大な土地の所有者がわからないのである。
所有者不明土地の固定資産税の徴収はむずかしいばかりでなく、再開発などをおこなう際の用地取得の妨げにもなる。ごみの不法投棄や伸び放題の雑草を手入れする人がいないなど、余計な経済的負担や治安悪化にもつながっていく。
このような状況の中、空き家活用方法の1つとして「全国定額で住み放題」ADDressのようなサービスも始まっている。またAirbnbに代表されるような民泊サービスも空き家活用の方法として注目を集めている。空き家に住み放題という状況や、日本国外の人にも開放されている民泊の利用で、これまで活用の対象にならなかった空き家の活用が進む可能性がある。空き家の隠れた魅力が生きるようなサービスの広まりは、空き家問題に一石を投じる可能性あり多いに期待したい。
~財務コンサルティング事業部 齊藤 直也~