イワサキ経営スタッフリレーブログ
2020年03月
2020.03.23
令和2年度税制改正大綱概説
令和元年12月20日に閣議決定された令和2年度の税制改正大綱の中から気になる項目についてピックアップして概説したいと思います。
今回の税制改正大綱の特徴として、①経済成長実現のためイノベーション促進を促す措置、②社会構造の変化に対応するため、全ての一人親家庭に対する公平な課税の実現が挙げられると思います。
まず、①の観点から、法人税についてみると、「事業会社(対象法人)が、2020年(令和2年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日までの間に、一定のベンチャー企業(産業競争力強化法の新事業開拓事業者のうち一定の企業)の株式(特定株式)を出資の払込みにより取得し、その取得した日を含む事業年度末まで保有している場合には、…その株式の取得価額の25%以下の金額を損金算入できる。」→詳細はこれから発表されますが、国家として一定の新事業開拓事業者に対する支援を民間同士で行いやすくし、オープンイノベーションを促進したいという意図がくみ取れます。
また、①の観点から、所得税についてみると、「国立大学法人等への個人寄付について、その寄付がイノベーティブな研究に挑戦する若手研究者へ充てられた場合には、税額控除を選択できる事とする。」→これも国家戦略として、イノベーション促進のための税制措置と言えると思います。
次に、②の観点から所得税についてみると、「『婚姻歴の有無による不公平』と『男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平』を同時に解消するために、Ⅰ.未婚のひとり親が生計を一にする子(総所得金額等の合計額が48万円以下であるものに限る)を有し、かつ未婚のひとり親の合計所得金額が500万円以下である場合には、寡婦(夫)控除を適用する(住民票等により事実婚であることが明記されている場合を除く)。」→以前は未婚の寡婦(夫)控除は認められていませんでした。「Ⅱ.寡婦(夫)控除の適用について、寡婦(女性)に寡夫(男性)と同じ所得制限(合計所得金額500万円以下)を設ける。」→以前は寡夫には所得制限により所得控除が認められないケースがありました。
税制は「社会を映し出す鏡である。」とある税法の先生がおっしゃっておりましたが、今の経済状況や世相を反映した税制改正を政府が行ったと感じました。
~推進一課 田村圭~
2020.03.23
空き家問題
だれも住んでいない家や集合住宅の空室が増えている。総務省の調査では、全国にある空き家は2013年時点で820万戸にも上り、総住宅数6063万戸の13.5%を占める。このうち約6割に当たる471万戸はマンションなどの共同住宅で、すでに全国の住宅の7~8戸に1戸は空き家だ。空き家にも種類があり、「二次的住宅」「賃貸用住宅」「売却用住宅」「その他」に分類される。これらの中で明らかに問題とされるのは「その他」に分類される空き家である。
住宅があまっていながらも、都心部を中心にタワーマンションや新規住宅の着工が相次ぐ。郊外の庭付き一軒家から都心のマンションへと需要が変わってきたこともあるが、野村創業研究所の試算(2016年)では、このままいくと2033年には住宅の3戸に1戸が空き家となってしまう。資産価値が低い地方の古い空き家は、景観の悪化や倒壊の危険を招く。空き家だらけのマンションは管理費の回収がむずかしく、修繕や建て替えもままならない。
空き家だけではない。全国に所有者がわからない、わかっても連絡がつかない「所有者不明土地」が2016年時点で九州本土とほぼ同じ面積の約410万ヘクタールもある。これが年々、拡大している。所有者不明土地問題研究所の報告書では、2040年には16年の1.7倍に当たる約720万haに増えると試算されている。北海道(島嶼を含む)の面積(834万ha)の9割に当たる広大な土地の所有者がわからないのである。
所有者不明土地の固定資産税の徴収はむずかしいばかりでなく、再開発などをおこなう際の用地取得の妨げにもなる。ごみの不法投棄や伸び放題の雑草を手入れする人がいないなど、余計な経済的負担や治安悪化にもつながっていく。
このような状況の中、空き家活用方法の1つとして「全国定額で住み放題」ADDressのようなサービスも始まっている。またAirbnbに代表されるような民泊サービスも空き家活用の方法として注目を集めている。空き家に住み放題という状況や、日本国外の人にも開放されている民泊の利用で、これまで活用の対象にならなかった空き家の活用が進む可能性がある。空き家の隠れた魅力が生きるようなサービスの広まりは、空き家問題に一石を投じる可能性あり多いに期待したい。
~財務コンサルティング事業部 齊藤 直也~
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