イワサキ経営スタッフリレーブログ
2019.10.31
事業承継について
大塚家具の事業承継は上場企業なので大きな話題になっていますが、中小企業でも似たような話はときどき耳にします。後継者が男性の場合は妻の理解や応援でまだじっとこらえて時期がくるのを待ち、やりすごしていく場合も多いのですが、女性の場合は仕事に打込んできたため独身で相談する相手もなく一人ですべて抱え込んでしまったり、結婚している人は逆に仕事のストレスが元で夫婦仲が悪くなり離婚してしまったりというケースもあります。また、夫が妻の実家に入って仕事をしている場合で、父娘の関係が悪くなるとさらに問題は深刻になり、夫婦そろって仕事を失ったり、最悪のケースには離婚して仕事も家庭も失ってしまったりすることさえも起こりうるのです。
中小企業の社長が自分の子供に会社に入って後継者になってほしいというとき、親子という遠慮もあってか、あまり経営について詳しいことを語らず、実際に一緒に仕事をするようになってから経営観の違いがはっきりするというケースが多いと思います。男性の場合は子供の頃から「お前が跡継ぎ」と言い含められて後継者になる場合が多く、時間的にも精神的にもじっくりと構えられますが、女性の場合、最初はそのつもりがなかったのに、ある日突然「お前がやれ」と後継者になってしまう、というケースが頻繁にあり、経営者としての心構えもできないうちに社長になってしまうことも珍しくありません。そして実際にやってみたら先代からの横やりが激しく、自分が思い描いていた経営ができず、悶々と悩むという経営者も多いのが実情です。
このような状況を防ぐためには、まず、バトンタッチをされる前にじっくりと親と膝を突き合わせて経営の話をすること。そして親からの後継者の指名に対して「NO」と言える余裕をもっておくことが大切だと思います。
後継者問題は親子にとって非常に大切な問題であるのと同時に、雇用している社員の将来をも左右します。親子の関係がこじれればこじれるほど経営に支障が出ますし、社員の不安も増大していくのです。事業の継続を堅持し雇用を守るために、事業継承の前段階から、経営者も後継者も両者ともに納得できる経営方針のすり合わせを行っていくことが望ましいと思います。
~資産税課 雛田昌孝~