イワサキ経営スタッフリレーブログ
2019.03.06
「広大地の評価」の廃止と影響
相続税申告における土地の評価に関して、「広大地」に該当すると評価額が大幅に低くなる制度が廃止となり、1,000㎡以上(地域により異なる場合があります)の土地については、平成30年1月1日以後の相続等から「地積規模の大きな宅地」として評価することになりました。改正から1年以上が経過し、その影響が出ている申告を目にすることも多くなってきました。
主に郊外の住宅地周辺にある一定の広さ以上の土地を評価する際に、住宅用地として開発を想定すると道路や公園等を設けなければならず、いわゆる潰れ地が生じ、利用できる有効面積が少なくなります。改正前は一定の要件を満たせば、土地評価の際にそうした分を「広大地」として補正を行い、評価額を大幅に減額できるケースがありました。改正後は「地積規模の大きな宅地の評価」により所定の算式で計算することとなりますが、この改正で有利になる場合と不利になる場合が出ています。
まず、従来「広大地」に該当しなかった土地が「地積規模の大きな宅地」に該当するケースがありますので、評価が下がる可能性があります。例えば、3階建て以上の建物の敷地となっている土地やロードサイドの店舗用地等は、原則として「広大地」の適用が難しかったのですが、平成30年以後は「地積規模の大きな宅地」に該当すれば評価額が低くなります。逆に、従来広大地の評価の適用が出来ていた土地も、規定が廃止になり、地積規模の大きな宅地に該当しても評価額が上昇する可能性があります。
影響を見極めるには、まず現状分析です。特に土地の評価に関する改正は、土地自体の評価額がもともと高額ですので、影響も大きく出てしまうケースが多くあります。一度すべての財産の棚卸を通じて資産・負債の状況と相続税の見込税額を確認してみましょう。その上で、相続対策の3本柱、「争い防止の対策、納税資金対策、節税対策」を基本に、今できる対策から順番に実行に移していきます。遺言書の作成、生命保険の活用、養子縁組、生前贈与、資産管理会社の活用などが考えられます。上記の対策は、コストやリスクが限定的な基本対策です。さらに対策が必要な場合は、追加の策として、ある程度のリスクとそれに対するリターンを理解したうえで実行を検討することとなります。土地活用など不動産を使った対策はその代表でしょう。
~資産税課 勝又健太郎~