イワサキ経営スタッフリレーブログ

2019.01.28

お金持ちに厳しい税制改正

 2019年度税制改正大綱が発表された。2019年は10月に消費税が10%になり、消費税に注目が集まっているところであるが、今回の税制改正大綱では資産課税が地味に厳しくなっているのでここに着目してみたい。

2013年に制度化した「子や孫に対する教育(・結婚・出産・育児)資金の一括贈与」について。29歳以下の子や孫に1人当たり1,500万円まで一度に非課税で贈与できるが、信託銀行などと契約を結び、一旦全額を贈与者が金融機関に預け、受贈者が教育資金として払い出しを受けるためには領収証等を金融機関に提出する必要がある。受贈者が30歳に達した時に残額がある場合は、その残額が贈与があったものとみなされ贈与税の対象となる。使い勝手のよい制度とは言えないものの、2018年12月22日付日本経済新聞の記事によれば制度ができた13年度以降約19万件、1.37兆円もの贈与に利用されてきたそうだ。
さて2019年4月以降、この制度を利用する際は受贈者の子や孫に年1,000万円を超える所得があると非課税の扱いが受けられなくなる。また、教育資金の用途についても縛りがかかり、23~29歳の子や孫が学校以外で受ける趣味の習いごとは、2019年7月以降は対象から外される。
厳しくなる、と言っても受贈者である子や孫に年1,000万円を超える所得があるなら、そもそも贈与なんて必要ないではないか、と考えてしまうのは貧乏者のやっかみか。それはさておき、課税庁の思惑は、高齢者に偏る資産を教育等でお金が必要な若年世代に移転することを目的としたものであったのに、実際は資産を持つ高齢者の相続税対策になってしまっていたのである。
この点についても是正があり、2019年4月以降に23歳以上の子や孫に贈与をして、そこから3年以内に贈与者が死亡してしまった場合、教育費として贈与を受けながら使い切らずに残ってしまった金額が被相続人の相続財産に持ち戻されて課税されることとなる。
消費増税に伴い、住宅借入金等特別控除や自動車税は減税が見込まれ、個人消費の落ち込みに対する施策は手当てされているようだが、2018年度の改正でも合計所得が1,000万円を超える給与所得者は配偶者控除を適用できないこととなるなど、いわゆるお金持ちには厳しくなる税制改正が続いている。しかし、消費税は所得のない小さな子供からも物を買えばしっかり税金をとるため、低所得者ほど増税の影響を大きく受けると言われている。そういった意味では世の一握りの高所得者には泣いてもらうのも致し方ない事なのかもしれない。
 
~推進三課 菊池美佐子~

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