イワサキ経営スタッフリレーブログ
2017.07.24
遺言のすすめ ~山田 克彦~
相続が発生した場合、現在の民法では「共同相続」が原則となっています。子供である相続人は、長男も次男も長女も次女も同等の相続権を持っているというものです。
戦前の家督相続時代では、法律によって長男が相続することを定めていましたので争いは起こりませんでしたが、「共同相続」が原則となっている現在では、相続財産をめぐり相続人同士が争うことは少なくありません。自分の遺志を子孫に伝え、さらに相続を円満に進めることが出来る方法として、遺言は非常に有効な手段です。
遺言は病気になってから書いたり、老人になってからあわてて書くものではありません。比較的若くて元気だからこそ、書いておくべきです。病気になると、気が弱くなって判断が鈍ったり、間違ったりするからではなく、せっかく書いた遺言も、せっぱつまってから書いたのでは、その効力が争われることになりかねないからです。
民法第九六三条に「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」と規定されているため、遺言者が、いつ、どのような体調のときに遺言を書いたのか、ということが常に問題とされるのです。遺言を書いたときに、遺言者がすごく老齢であったり、重病であったりしたことが分かると、遺言者の意思能力について争いを生じる結果となってしまうでしょう。
会社の経営者、特に同族会社のオーナー社長の場合は、遺言が必要です。相続が発生した後に、会社の経営権をめぐり兄弟同士の争いが起こってしまったら、会社自体が危うくなってしまうからです。内々の争いをしていたら、後継者は、経営の舵取りが思うように出来なくなり、会社の競争力は低下してしまいます。
このような事態を防止し、後継者が安心して会社経営を行えるようにするためには、オーナー社長が遺言により事業の後継者に株を相続させる旨をはっきりしておくことが重要です。オーナー社長にとって、事業後継者が会社支配権を確保できるような遺言書を作成し、株式の分散を防止することが必要です。