イワサキ経営スタッフリレーブログ
2017.05.19
築地市場移転問題 ~渡邉 健人~
2016年11月7日に予定されていた東京・築地市場の豊洲への移転が延期された。2年間の地下水モニタリングが終わっていないことや、土壌汚染を防ぐための「盛り土」をしていなかったことが原因となっている。
そもそも、なぜ移転が必要なのか。またなぜ豊洲なのか。
理由として挙げられるのは、施設の老朽化だろう。建物の一部が破損し落下するなどの安全性に対する不安が大きくなっている。また、荷置き場所の不足による品質悪化、駐車場や荷さばきのスペースの不足によるトラックの渋滞・作業の非効率化が挙げられている。このような状態が続くと、都民の食生活を支える役割が果たせないことや、災害の影響も懸念されることから移転が必要となってくる。
また、その移転先として、用地(約40haの敷地)、交通(首都高・新幹道路・地下鉄・ゆりかもめ)、商圏(築地から2.3km車で5分)などの条件があり、全ての条件を満たすのは、豊洲の他になかったという。
しかし、上記にも述べたように、豊洲には土壌汚染という問題がある。かつての石炭から都市ガスを製造する過程において生成された副産物などによるもので、7つの物質(ベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウム)による、土壌及び地下水(六価クロムを除く)の汚染が確認されている。
対処法として東京都は、掘削微生物処理・洗浄処理・原位置微生物処理・中温加熱処理・地下水浄化処理などの実験を行い、全ての処理方法で汚染物質を環境基準以下に処理できることをデータで確認し、これらの技術を用いれば、豊洲新市場予定地の汚染を無害化することが可能だと述べている。
移転の遅れが東京五輪に影響することや、築地ブランドがなくなることなど、まだまだ問題を多く抱えている状態ではある。しかし、閉鎖型施設により、食の安全・安心を確保すること、売り場の近くにスペースや駐車場を設け、効果的な物流を実現することなどメリットもまた存在する。
今回の問題において、賛否両論あると思う。両者の意見はどれも納得のいくものだった。しかし、そのままであれば老いていくだけなら、心機一転、移転するのも一つの方法ではないだろうか。