イワサキ経営スタッフリレーブログ
2017.04.19
新米国大統領誕生による経済界の影響 ~雛田 昌孝~
2017年1月20日、ドナルド・ジョン・トランプ氏が米大統領に就任しました。トランプ大統領の経済政策への期待から米国の株式市場は史上最高値を更新し、ドルも主要通貨に対して堅調に推移しています。同氏が掲げる財政出動、規制緩和、減税を軸とする経済政策=トランプノミクスへの期待が、世界的なマネーフローに大きな影響を与えています。
欧州や中国では、徐々に先行きへの懸念につながる動きが出始めています。米国の動向次第では世界経済の先行き不透明感が大きく高まり、わが国の経済にも相応の下押し圧力がかかることが想定されます。
リーマンショック後、各国で財政悪化が懸念される中、中央銀行は積極的に金融緩和を進めました。それでも、中国経済の減速によって世界全体で供給が需要を上回る状況が続いています。
この状況を克服するには、財政出動を進めて有効需要を発掘すると同時に、規制緩和などの構造改革を行い創造的破壊=イノベーションが発揮されやすい環境を整備する必要があります。その点で、トランプ氏が大規模な財政出動を主張したことが当面の米国経済に対する強気な見方につながったと言えます。
基本的に、米国経済はドル高と金利上昇に対して十分な抵抗力を備えていません。ドル高は企業収益の下振れにつながり、金利上昇は借入金利の上昇を通して住宅投資、耐久財の購入にマイナスに働きます。こうしたリスクが顕在化すると、利上げ予想の後退や先行き不透明感の上昇を伴って世界経済全体の不安定感が高まりやすいと言われています。
今後、米国を中心とする海外の政治・経済の動向に、わが国の景気は振り回されやすい状況です。その中で、潜在成長率を高めデフレ経済を克服するためには、やはり、構造改革を進めなければならないと思います。
限りある財源を有効に活用し、中長期的な成長基盤を整備するためには、規制緩和を進めて企業のイノベーションを引き出しつつ、経済外交を進めてアジア各国との関係強化を進めることが欠かせません。そうした取り組みが、不確実性の高まる世界経済の中でわが国の存在感を高めることにつながっていきます。