イワサキ経営スタッフリレーブログ
2017年01月
2017.01.23
取引コストを考えてみよう ~安部 和人~
今年の夏、私は富士山に登った際にペットボトルの水が500円で売られていることに驚きました。コンビニでは100円で買う事ができる水を、なぜこんなにも高い価格で購入する人がいるのでしょうか?
事前に富士山でペットボトルの水が500円で売られているという情報を知っていれば、コンビニで100円の水を購入して富士山に登ると思います。しかし、その情報を事前にネットや本で調べることに手間を感じる人や、たくさんの水を抱えて富士山に登ることに労力を感じて富士山で購入した方がいいと考える人もいます。財布から直接お金が出ていかなくても、こういった手間や労力が消費者の心理的な負担となっているのです。
このような水自体の購入にかかる価格以外のコストのことを経済学では取引コストと呼びます。また、経済学における概念には、一物一価の法則というものがあります。これは同じ商品であれば同じ価格であるという法則ですが、実際の日常生活では、同じ商品なのに値段が異なっていることがよくありませんか?この値段が異なる要因となっているのが取引コストなのです。
例えば、ガソリンスタンドでは同じガソリンを売っているのに店によって価格が異なっています。異なる価格で売られているのであれば、できる限り安いガソリンを購入するのが当然でしょう。しかし、その安い店の情報を調べるのに手間や労力がかかります。また、安い店を探し出したとしても遠ければそこまで行くのにも手間や労力がかかります。このような手間や労力が取引コストとなっているのです。情報の提示や立地の良さなどでこの取引コストを下げている店がガソリンの価格を他の店よりも高くすることができているのです。他にも、近くに値段が安い店ができたとしても昔から付き合いのある店に行く人もいるのではないでしょうか。そこには、その昔からの付き合いという信用が取引コストとなって消費者にその新しい店の方が高いと感じさせたのでしょう。
このように日常生活では同じ物なのに価格を異ならせる要因となっている取引コストはたくさん存在しています。なぜ消費者はその価格の物を購入するのか、値段以外の要因となっている取引コストを考えてみてビジネスに繋げてみてはいかがでしょうか。
- 1 / 1