イワサキ経営スタッフリレーブログ
2016.01.20
経営者の意思決定とエゴ排斥 ~宮川良太~
昨今の大手企業の不正経理・不正工事の事実を皆さんはどのようにお感じでしょうか。
これらの事件の背景には、経営者の保身というエゴそのものが垣間見えます。利益至上主義に走り、結果として、利益を喪失するという悲劇を招いてしまっています。
この事実を引き起こした原因の根本には、経営者の資質の問題と会社組織における原理原則の喪失が考えられます。
大小の規模に関わりなく企業は、経営者の考える経営方針によりその方向性が決定されます。その時、経営者が自らの保身(エゴ)を最重要課題とするならば、企業の進路は、迷走と問題の先送りを繰り返し、深くて暗い泥沼に陥るのです。
つまり、組織の原理原則の喪失により、経営者個人の方針が独り歩きし、その結果、従業員の仕事に対する責任感が失われ、その場凌ぎの風潮が蔓延してしまうのです。
経営者は、順風満帆の時ばかりではなく、逆境に立ち向かう時の方が多いと思います。故に、その資質が問われるのです。しかし、完全な人間なぞ存在しません。経営者自らが己の弱点を知り、私人ではなく経営者としての己を創造すべきなのです。
では、具体的に経営者は何をなすべきなのでしょうか。経営者の仕事とは何なのでしょうか。
経済学者のピーター・ドラッカーは次のように経営者の条件の一つを挙げています。
『真に例外的な問題を除き、あらゆるケースが基本の理解に基づく解決策を必要とする。原則、方針、基本による解決を必要とする。一度正しい基本を得るならば、同じ状況から発する問題は実務的に処理できる。』
すなわち、企業においては、経営者の下に原理原則に基づく基本方針が徹底され、組織全体に揺るぎなく浸透し、従業員全体において意思統一がなされる事の重要性が表現されています。
さらに、ドラッカーは、経営者の仕事の一つとして次の二点を経営者に求めています。
①繰り返し行っている意思決定を一つ見つけてください。
②意思決定のルールを一つ作ってください。
つまり、経営者の意思決定を必要としない組織作りが、究極のエゴ排斥の手段なのです。