イワサキ経営スタッフリレーブログ
2015年10月
2015.10.20
相続税の配偶者税額軽減 ~長田 浩明~
相続では配偶者が財産を引き継げば相続税は無税になる。というお話を聞いたことはありませんか?これは相続税の配偶者税額軽減というものがあるためです。
その制度の概要は配偶者が1億6000万円、または配偶者の法定相続分のうち、どちらか高い方までが非課税となります。例えば10億円の相続財産があり、相続人が配偶者と子供の場合は配偶者の法定相続分は2分の1となり、5億円までは非課税ということになりますので、5億円まで相続しても相続税は無税となります。
無税と聞くとお得感がありますが、実際には損をしてしまう可能性もありますのでご注意ください。相続には夫婦で先に亡くなった方の相続を1次相続、後に亡くなった方の相続を2次相続と呼びます。配偶者税額軽減が使えるのは配偶者のいる1次相続のみです。例えば1次相続の時に配偶者と子供が2人いるご家族の場合、2次相続では子供2人のみの法定相続人となります。そうなりますと基礎控除というものが下がります。基礎控除とは相続税が出るか出ないかの一定の基準のようなもので、その基礎控除の金額を超えてしまうと相続税が発生します。基礎控除の計算式は3000万+(法定相続人×600万)です。1次相続では法定相続人3名なので4800万の基礎控除となりますが、2次相続の時には法定相続人が2名になりますので4200万まで基礎控除が下がります。1次相続の時に無税であるからと配偶者の方に多く財産を寄せてしまうと、2次相続の時に基礎控除が少なくなった分、多くの相続税を払うことになりかねません。
極端な話ですが1億円の財産を配偶者と子1人が相続する場合に、1次相続で全ての財産を配偶者に渡すと1次相続の相続税は配偶者も子もゼロ。2次相続では子が1220万払うことになります。
1次相続で法定相続分通りに相続した場合、配偶者の税額はゼロ、子の税額は385万。2次相続での子の税額は160万で1次と2次合わせて545万となります。その差は675万も変わってきます。
損をしないためにも1次相続、2次相続のトータルを考えて相続財産を分けていくことが望ましいと思います。
尚、相続税の配偶者税額軽減の適用を受けるには遺産分割が確定していることと、相続税の申告書の提出、添付書類の提出が必要になります。
2015.10.20
ギリシャのユーロ離脱はありえるのか ~安部 和人~
欧州連合(EU)が求める財政緊縮策への賛否を問うギリシャの国民投票が7月5日に投開票され、反対票が賛成票を上回り、ギリシャのチプラス首相はこの結果を理由に財政緊縮策を拒否した出来事はまだ記憶に新しいかと思います。その際のニュースでは、毎日のようにギリシャがユーロから離脱するのではないかと報じられていました。しかし、ギリシャがユーロから離脱する事は本当に可能なのでしょうか?実は法律には、ユーロからの離脱に関する手続きはまったく定められていません。元々、ユーロから離脱するという事を想定して共通通貨ユーロを導入していませんでした。
そのため、正式なステップを踏んでユーロを離脱するためには、既に離脱の規定があるEU事態から離脱する必要があります。もしEUからギリシャが離脱すると、ギリシャはEUから何の援助も受けられなくなってしまいます。さらにEUから離脱するためにはEU加盟国27ヵ国の承認が必要であり、プロセスが完了してEUから正式に離脱できるまでには2年ほどの時間がかかると言われています。その2年の間に、ギリシャ国民は大幅な評価損を被らないようにするために通貨が変わる前にユーロを国内の銀行から引き出して外国の銀行の口座に移し替えるという資本逃避が起こる事は確実です。
また、ギリシャがユーロから離脱をして昔の通貨であるドラクマに戻した場合、為替相場が大幅に引き下がり、競争力が上がり輸出を増やすことができて経済が回復するという説があります。しかし、ギリシャ国民は現在、財産も借金もユーロで持っているため、ユーロより弱い通貨であるドラクマにした場合、実質的な財産価値はどんどん目減りし、逆に負債はどんどん増えてしまいます。例えば、ドラクマがユーロに対して50%切り下がったとすると、実質の財産は半分になり、ユーロ建ての負債は2倍になってしまうのです。そのため、輸出が伸びようが、税金を増やそうが、借金の返済は不可能でありデフォルトは必須であります。また、そうなれば債権国であるドイツなどの国も大損害を被ってしまいます。
ギリシャがユーロから離脱するためには、このような厄介な問題がたくさんあります。そのため、正式なプロセスを経てのユーロ離脱は、実際上は困難であることがわかります。
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