イワサキ経営スタッフリレーブログ

2015.04.20

「東京五輪」は地方創生の切り札になるか ~勝間田 佳祐~

 安倍内閣が政策の柱に位置付ける「地方創生」。地域活性化に重点が置かれる中、「2020年東京五輪」を契機に地方が望むことは、観光客誘致や雇用創出などの期待の高さや、参加国や地域のキャンプ誘致。それらを求める自治体は約9割ある。人口減少社会の中で「五輪」は地方の“切り札”となりえるのだろうか。

東京五輪は「オールジャパン」を掲げ、全国の自治体や地方議会でも機運醸成に尽力している。経済活性化や文化振興、国際交流の推進、障害者の社会参加など、大会効果が地方に波及することへの期待が大きい。「スポーツを核とした地域活性化の推進で、地方創生に好影響」「外国人観光客の誘致でビジネスチャンスの増大」「文化、芸術を起爆剤に地方創生を図る」という意見が多い。しかし、五輪を好機と捉える一方、東京一極集中の加速を危惧する意見もある。「地方からの人口流出がさらに増加する恐れがある」「一極集中にならない経済効果の地方分散が必要」との声もあるようだ。
ところで40自治体が各国・地域のキャンプ誘致を希望した。選手団のほか、観光客、報道関係者らが訪問し、波及効果に期待する。しかし、組織委員会が候補リストを作るのはこれからで、誘致に向けては独自のアプローチが続いている。経済界、大学などの地元関係者で構成したり、推進本部を設置して働きかけたりする自治体、県民から募ったアイデアを取り入れた五輪ビジョンを策定する自治体もある。ボランティア育成なども掲げている。一方で、施設や受入環境を売りにする自治体もある。キャンプ誘致に加え、特産品や観光PR、文化発信で、東京から人を呼び込むための知恵も巡らせる。伝統工芸品のメダルなどへの活用、ビクトリーブーケへの売り込みである。
外国人観光客の誘致に向けては、観光資源に加えてWiFiやコールセンターの設置、多言語化など「おもてなし」環境の整備を急ぐ。また、東日本大震災の被災地となった自治体は「国内外に復興や支援への感謝を伝える機会にしたい」「被災地で五輪事業を行うことで、風評払拭や風化防止につながる」と期待感を寄せた。
東京五輪を起爆剤と考えたいが、財源を考えると町の開発は難しい。五輪後にどうありたいか、地域に寄り添った計画を作るのか、それとも将来を見据えてムチを振るうか、地方行政ではそこが問われていると思う。

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