イワサキ経営スタッフリレーブログ
2015.02.19
事業承継 ~小宮山 麗子~
近年、中小企業の数が着々と減少していると言われます。その原因はそれぞれに様々だと思いますが、その原因の一つだと言われて久しいことに「事象承継の失敗」があります。国も危機感を募らせ、中小企業の事象承継支援に本腰を入れています。平成20年には、「経営承継円滑化法」なんていう法律も施行されました。
では、事業承継は何が難しいのでしょうか?最大の困難は、後継者です。そして、事業の展望。さらに、現社長自身の覚悟です。
まず、後継者です。少子化で子供が少なく、特に田舎では、子供は年頃になると都会へ出て行って進学・就職します。子供が田舎へ戻って事業を継いでくれる可能性は減少するばかりです。20年前は親族内承継が80%以上を締めましたが、昨今は半分ちょっと。中小企業は、ほとんどが同族会社です。親族外承継は、それだけで敷居が高くなります。また後継者が見つかっても、その教育や本人の覚悟を固めるには、1年や2年の期間では足りません。加えて、まわりへの周知と理解を得ること、これまた一朝一夕にはできません。
次なる困難は、事業の展望です。その会社の未来に希望が持てなければ、そもそも承継すること自体に疑義が生じます。そういう場合には、会社の承継を考えるより、価値ある技術や金を生む事業のみを売却するなど、少し複雑な技を使う必要があるかもしれません。また、事業には借入がつきものですが、これも事業承継の大きなハードルです。承継者は、会社がもつ多額の借入の債務保証をしなければなりません。奥様は、旦那様が社長になって多大な気苦労と多額の借金の連帯保証人になるより、東京でサラリーマンをやってくれる方が多分幸せです。これも、事業の将来に輝く未来が見え隠れしなければ越えられない困難なのです。
そして、現社長自身の覚悟も、意外なことにハードルです。現社長は、寝ても覚めても会社の経営を考えて考えて、頭がちぎれるほど考えて暮らしてきた方です。会社のことを誰よりも知っているのは自分だという自負があって当然です。これもまた次世代へ承継する覚悟が必要なのです。この会社をお前に託すというその腹を決めない限り、その会社に未来はありません。
日本の中小企業の社長の平均年齢は60歳の大台に乗ったとも言われます。そして、社長が引退したい年齢の平均は67歳。社長、事業承継に真剣に取りかかるのは、今です!