イワサキ経営スタッフリレーブログ
2014.12.22
相続税とPDCA ~勝又 健太郎~
平成27年1月1日以降に発生した相続から、相続税の課税対象となる人が増える見込みです。税制改正により基礎控除が4割縮小することなどによる影響で、全国で5万件程度だった相続税の課税件数が、平成27年は8万件程度になる見通しとなっています。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で脱デフレが実現し資産価格が上昇すれば課税対象者がさらに増える可能性もあり、相続対策を急ぐ人が増えています。
ひと口に相続対策といっても内容は様々ですが、大きく分けると相続対策の3本柱は、①節税対策、②納税資金対策、③争族対策(もめないための対策)といわれます。どの対策を優先するかは「家」によって違いますが、一般的に関心が高いのが①の節税対策であり、あまり気にしないのが③の争族対策(もめないための対策)ではないでしょうか?ただ、実際に相続が発生した際に一番苦労するのが、遺産分割で相続人同士がもめるケースです。遺産分割でもめて訴訟に発展する事案も以前より増えているようです。節税対策を優先するあまり、納税する資金が不足してしまったり、遺産分割のときに分けにくい状態になってしまったりして、結果的に不利益を被ることもあります。相続対策の全体をみわたしバランスのとれた方針を策定していくことが必要です。ひとりの人が経験する相続の回数は限られていますから、なかなか適切な相続対策を実行していくことは難しいのが現状です。
相続対策は、家族の「願い」を実現するものでなければなりません。そのためには、「願い」は何かを明確にしていく必要があります。自分自身のライフプランをどのように描いているのか、どの財産を誰に相続させようと考えているのか、節税効果を得るためのリスクやコストをどのように考えているのかなどが明確になっていないと対策は進みません。そのためには、まず現状を正しく把握することから始める必要があります。現状をしっかり認識できれば、問題点も浮かび上がってきます。
相続も事業活動と同じく、現状分析から対策の立案(Plan)、実施(Do)、実施状況の確認と課題の把握(Check)、新たな対策の実施(Action)のサイクルを繰り返しながら、継続的な改善を目指したいものです。