イワサキ経営スタッフリレーブログ
2014.06.20
不動産の需給悪化と二極化について ~日宇 功太~
本年3月に地価公示価格が発表され県内でも上昇地点が増加しましたが、この上昇は今後も継続するのでしょうか。今後の不動産価格を形成するうえで考慮しなければならない不動産(土地・建物)の需給悪化と二極化について触れてみたいと思います。
不動産の需給悪化要因として以下の要因が考えられます。【1、人口減少】県内人口は減少が続き2014年の約370万人から2040年の約303万人へ約67万人の減少が推計されております。近い将来、不動産の需給面に影響が出ることは避けられないと思われます。【2、相続税基礎控除の引き下げ】納税者の資産についてはその大部分を不動産が占めている場合が多く、納税や遺産分割に当たって不動産の売却が必要となるケースが増加することが予想されます。【3、戸建住宅の空家率の上昇】現在静岡県内の空家率は13%を超えており、今後も上昇が続きます。潜在的な未利用不動産の増加により不動産(土地・建物)の需給関係が悪化します。
不動産(土地・建物)の二極化要因については以下の要因が考えられます。【1、将来的な自治体の間の公共サービスの格差】 静岡県は県内に比較的財政が健全である自治体がある一方で、主要な財源を持たない自治体も存在し、公共サービスの格差が顕著になっています。企業や住民の流出入については二極化しており、不動産価格に影響が出ている自治体もあります。【2、人口減少に伴う都市の集約】自治体の財政悪化、人口減少にともない、これまでの公共サービスを維持していくには人口規模に合った集約型のコンパクトシティを形成していく必要があります。今後、一つの区分として都市計画上の都市計画区域内の市街地と市街化調整区域内で住民に対するサービスや利用負担に格差を設定する自治体が出るのではないかと思われます。
今後の不動産の需給悪化と二極化は不動産(土地・建物)の価格形成に強く作用します。不動産売買や資産の組み換えに当たっては、目先の借入金利の低下や地価の上昇に惑わされず、人口や地域の趨勢、税制、自治体の財政状況等の多角的な視点から判断してゆきたいものです。