イワサキ経営スタッフリレーブログ

2012.10.18

頑張れニッポン ~小宮山 麗子~

 8月にオリンピックが終わってしまいました。最近、何だか国内に活気がない雰囲気の中、史上最多のメダル数で終わったオリンピックです。どれほど、元気をもらったかわかりません。「頑張れニッポン」の掛け声を慈しんだ11日間でした。

そして現実に戻ると、やっぱり国内の活気はイマイチです。例えば、製造業。かつては、日本と言えば「モノづくり」でした。圧倒的な繊細さと真似のできない技術を誇って、その自信はゆるぎませんでした。ところが、最近の日本は、どうも分が悪いと言わざるを得ません。日本の技術を象徴する液晶最大手のシャープを巡る一件を見ても、「ニッポン、隣人にちょっと負けてる感」が漂っています。
シャープと言えば、有名な亀山モデル。円高を背景に、工場が人件費の安い海外へ次々とシフトする波が止まらない中で、最高水準の技術を国内の亀山工場に囲い込み、一貫生産を試みました。一時は、これが功を奏して、大ヒット。さすが「ニッポンのモノづくり」でした。しかし、隣国は亀山工場を反対側の山から見ていて、日本が最高水準技術を囲い込んでいる限りは勝てると判断したそうです。
その理由は、消費者。この期間の世界のメイン消費者は、新興国です。新興国の需要は、最高水準の芸術電化製品ではなく、生活を少しでも手助けしてくれる、頑丈でシンプルな電化製品です。当然、その製造は、水平分業モデルに則って、できる限りのコスト削減、大量生産が課題です。
日本は、その技術の高さゆえに、匠の技に走り過ぎる欠点があるように思います。本来は、それは芸術なのでしょうが、資本市場で生き残るためには、消費者の心をつかむ匠でなければなりません。国内の工場が軒並み海外へシフトする動きは、国内空洞化への恐怖です。でも、国内に高度な技術を、という動きは根強くあり、高性能ロボットによる無人工場への挑戦など、頼もしい話題は事欠きません。
日本は、これから生産年齢人口が激減する未体験の環境へ向かっていきます。これを踏まえて、日本の得意分野を活かし、過去の成功体験にあぐらをかかない、未体験ゾーンを生き抜く計画を慎重に立案する必要に迫られています。国や、大企業がどう対処していくのか、中小・極小企業は、これを見極めながら、進むべき道を決めていかなければなりません。本当に難しい、難しい時代だと思います。
今回の史上最多のメダルに力をもらって、ここからこそ本当に、心から、「頑張れニッポン」です!

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