イワサキ経営スタッフリレーブログ
2007.12.27
~鈴木 聡~
毎年年末になると「今年の漢字」が話題にのぼる。京都の清水寺で大きな筆を使い書く場面は毎年恒例である。2007年の一字は「偽」であった。
言われてみれば、食品の産地偽装があったり、賞味期限の偽装があったり、また材料の偽装表示もあった。企業と消費者との関係は信用でつながっているとすれば、それを裏切る行為に厳しい処分が下るのは当然のことだろう。その行為自体は大問題であり、大いに反省してもらいたいものである。しかしながら、個人的には多少同情したい気持ちもないわけではない。このような偽装の問題は徹底的にたたかれた企業だけのものなのであろうか。実は似たようなことは我々の身近にもあるのではないかと思うこともある。例えば輸入した貝を国内の海にばらまくことで国産扱いになるときいたが、これなど表示のルールとしては正しいのだろうが、消費者の視点でみれば限りなく偽装に近いような気もする。念のため繰り返すが、私は偽装した企業を肯定しているわけではない。ただ、問題の本質はもっと別のところにあって、そこに着目しないと今回問題となった企業だけの問題ではなく、我々も含め他の企業も無関係ではいられないと思うのである。
これらの偽装の根底には、企業として生き残らなければならない課題としての、コストダウンと成長拡大指向があったと思う。それは企業として当然の課題であり、また必要なことでもある。今回の偽装問題はその取組みかたを誤まり、そのまま突進してしまったために起きたのではないだろうか。これは全ての企業に問われる共通の課題である。
では、どうすればそこでブレーキをかけることができたのか。私はそのブレーキのひとつは今一度「経営理念」に帰れるかどうかだと思った。その企業の存在意義は何なのか。一番大切なものは何か。そのような問いを常に持ち続けることが、誤った方向に走り始めたときのブレーキとなるのではないかと思うのである。私も自身の足元を今一度しっかり見たいと思った。