イワサキ経営スタッフリレーブログ
2007.09.14
「リスク」 ~鈴木聡~
9月初旬、台風9号が伊豆周辺を通過した。この台風は結果的には神奈川県の小田原あたりに上陸し、そのまま本州北部縦断のコースをたどったことで列島に大きな被害をもたらしていった。
もともと9月は大きな被害をもたらす台風が多い月のようで、統計によればこの80年間で40人以上の犠牲者を出した台風の何と9割が9月上陸の台風だそうである。この9月は日本近海の海水温がもっとも高くなる時期で、台風はその暖かい海水から力を増強し強い勢力を保ったまま日本列島に上陸しやすくなるというのだ。
ところが、海水温の異変もあるのであろうか最近ではその常識が必ずしも通用しなくなってきている。9月だけ注意していればよいというわけにはいかなくなってきているのである。近いところの記録でいえば2004年の台風23号が挙げられる。この台風23号は10月20日に高知県に上陸した後、本州内陸部を横断し関東地方から太平洋海上へ抜けていった。その軌道から列島に大きな被害をもたらし、激甚災害指定が閣議決定されている。激甚災害指定の台風が10月下旬に来ることは極めて異例である。また、これまで5年に1度程度とほとんどなかった6月の台風接近も、最近では1年に2回3回と増えてきている事実も見逃せない。
これまでのパターンが通用しなくなってきているのであれば、それに対応する準備や心構えも改めて認識し直す必要があろう。
いうまでもなく自然災害は事業経営にも大きく影響する。もちろん大きな自然の前にあっては、時には人間の立場そのものがちっぽけなものとなり、その無力感にさいなまれることもあるかもしれない。しかし、災害がいつ起ころうと普段のちょっとした準備で、そのリスクは確実に縮小できる。災害発生時、社員間のやり取りがスムーズにできる体制は築いてあるか。物流の流れが滞ったとき、その後の対応をいかにしていくかが決まっているか。万が一物的被害、あるいは人的被害が発生してしまった場合、その補償に対する基準は設けているのか。そのための財源はしっかり捕獲されているのかどうか。少なくともこれらの点はしっかり確認しておきたいところだ。
とは言っても今年はもう大きな台風が来なければ一番いいが。